意外とおススメ?ITエンジニアがJTCで働くメリット・デメリットについて
何かとネタにされる”JTC”と言われる企業
昨今、TwitterなどSNSでもよく見かける「JTC」というワード、何を示している言葉かご存じでしょうか?
JTCとは”Japanese Traditional Company”の略とされており、簡単に言うと
「(悪い意味での)典型的な日本企業」
というイメージでしょうか。(英語としてはTraditional Japanese Companyのほうが正しいという声も、、)
ちなみにJTCには厳密な定義はないですが、よく例えとして
- 古い文化が残っている(職場で無駄な朝礼が頻繁に行われる等)
- DXが進まず業務が効率化されていない(なんでもエクセルでレポート作成、会議で紙の資料を配る等)
- 働き方の自由度が低い(コロナ禍でもリモートワークを認めない等)
みたいな例が多いです。
ITエンジニアにJTCはおススメできる?メリット・デメリットについて
このように、JTCにはあまり良い印象がない人も多いかと思いますが、実はJTCには良い側面もあります。
本記事では、私が現在所属している典型的なJTCでITエンジニアとして約3年ほど働いてきた中で、メリット・デメリットとして感じている点を独断と偏見でまとめてみました。
※すべてのJTC企業に当てはまる話ではないのでその点、ご了承ください。
優秀な人が少ないため、仕事の進め方の主導権を握りやすい
自身のキャリア構築に真剣に取り組んでいる方からすると、JTCではスキルアップすることが非常に難しいため、優秀な人であればあるほど、比較的短い期間で別の会社に転職します。そのため、組織内に残っている人は基本的には能力が低い人になりがちです。このような環境なだけに、自身の専門分野のスキルに絶対的な自身があれば比較的、自由に仕事を任せてもらえます。
ちなみに私は現在、グループ全体で約1,000名程度の典型的なJTCでITエンジニアとして働いていますが、自分の専門分野について、私より経験や知識がある社員がおらず、また上司も私に対して具体的な指示をすることができないため、自分でやるべきことをほぼ全て決めて上司に報告し、その内容に基づいて日々の業務を行っています。
このような仕事の進め方ができると、比較的自由に休みを取ったり、仕事の進め方の調整ができるため、非常に快適に仕事を進めることができます。自分のスキルや経験に自信がある場合については、中途半端に優秀な人が集まるようなIT企業に入るよりも、自由に仕事を進めることができます。
ビジネスへの危機感が薄く、ストレスやプレッシャーが小さい
これも業種にもよると思いますが、私が働いている企業を例にして話をすると、現在は2つの大きなビジネスを行っており、片方のビジネスは不調ではあるのですが、もう一方については非常に好調であり、会社全体からすると十分な利益が出ている状態です。そのため、新規事業への挑戦や業務改善などについてはそこまで積極的ではなく、良くも悪くも危機感がない状態です。
このような状況のため、一般的なインターネットサービスを運営している企業での業績不調時のプレッシャーと比べると比べ物にならないほど落ち着いた環境で働けています。(組織として良いかは別として、、)
プレッシャーのある環境で働かないと成長しない、などと言う方もいるかと思いますし、私もそのような考え方はないわけではありません。しかしそれでも心理的安全性が確保されている環境で働けると、日々のインプットやアウトプットの質が劇的に向上するため、私個人としてはやはり、なるべくストレスやプレッシャーが少ない環境で働くことのほうが重要かと思いっていますし、またJTCではそのような環境が整っている可能性も中途半端なIT企業と比べると高いかと思います。
経営層・管理職がITエンジニアに対して興味がない
上司や経営層がITに非常に疎く、またエンジニアが何をやっているのか特に興味を持っていない場合が多いため、必要以上に業務に対する指摘を受けることがありません。
一般的なIT企業だと、日々の業務や参画しているプロジェクトについての進捗報告などについても非常に複雑ですが、JTCではそもそも進捗報告自体をまともに理解できる人がいないため、比較的大雑把な報告でも「ああ、なんかやってるな」くらいで特に突っ込まれたりはしないです。(あくまで筆者のケースですが)
ITエンジニアとしてJTC企業で働くことに向いている人
ここまで読んでいただいた方の中には
「働きやすさは分かったが、組織の在り方としては問題ありすぎでは・・・」
「働きやすい可能性はあるけど、キャリア形成上はどうみてもデメリットだらけだろ」
などと言われそうです、、
確かに「エンジニアリング組織におけるキャリア形成」としては基本、組織やチームというより自分自身で考えて動いていかなければならないため、よほど自分自身で明確なキャリアプランをイメージして日々の業務に取り組まないと、なかなか成長することが難しいです。このような点を考えると、ITエンジジニアがJTCで働く場合には以下のような適性が必要かと考えます。
特定の分野に対して一人で全て完結できるスキルや経験があること
JTCは社内にITエンジニアを抱えているケースが少なく、また手を動かせるメンバーも少ないため、ビジネス上の要件整理から設計・開発まで全て一人でできることが大前提となります。何か一つに特化していても、その関連業務について理解できていなかったりすると、JTCでは十分なパフォーマンスを発揮することができません。
そのため、自身の専門分野だけでなく、関係しそうなスキルについてもキャッチアップできていることが重要となります。また、分からないことがあったときには基本、社内のメンバーに聞いても解決しないため、自身でネットや書籍で調べたり、参加しているオンラインコミュニティ等で質問をしてみるなど、わからないことを解決するための選択肢を複数持っていることが重要となります。
まわりから冷たい目で見られることに抵抗を感じない
JTCで働く上で、ITエンジニアとして十分なスキルや経験を持っている場合、かなりの確率で浮きます。(当たり前ですが、、)
やっている仕事がハイレベルであればあるほど、色々な人から
「あの人何の仕事やってるんだろう」
「あの人本当に仕事してるのだろうか?」
みたいな感じで見られがちです。
これについては正直、理解してもらうこと自体が困難なため、そのような立ち位置になることを受け入れるしかありません。
こんなに非効率な業務をしているのに、なぜJTCは潰れない??
ちなみにJTCについて、なんでこんなにITリテラシーが低くてまた非効率的な業務ばかりしているのに、ビジネスとして成り立ってるのだろう、、などと感じる人がいるかと思いますが、意外とJTCの中でも業績が良い会社は少なくないです。
比較的JTCイメージが強い製造業や物流等、大規模な設備投資が必要となる業種などでは、新規参入は非常に難しくまたリスクも大きいため、どうしても既存プレーヤーの力が強い傾向があります。
このような点から、ある程度の規模のJTCについては既存のビジネスモデルで十分に成果が出続けていたりします。
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